趣味
皆さんは趣味をお持ちだろうか。
広辞苑によると、趣味とは@感興をさそう状態。おもむき。あじわい。Aものごとのあじわいを感じとる力。美的な感覚の持ち方。このみ。B専門家としてでなく楽しみとしてする事柄。と記されている。
私の周りには、多種多様な趣味を持った友人がたくさんいる。彼らの普段の職業からはとても想像できないような趣味を持っている人もいて、話を聞くたび、そのギャップが面白く、また、その人のバックグランドを垣間見る事ができ、なんとも興味深い。
先日、ふらりと立ち寄った六本木のバーで素敵な女性バーテンダーと出会った。年のころはおそらく30代前半位だろうか。スラリとした横顔の美しい人で、それよりもなによりも声がとても魅力的。[いらっしゃいませ。]が、なんとも優しく、小気味よい。カウンターの一番奥の席に案内され私はビールを注文した。
こじんまりとした店内にはジャズが流れ、アンティーク調の重厚な家具が配置され、照明、花瓶、グラス、コースター全てが一つの空間に溶け込んでいて、とても居心地が良かった。ビールが運ばれて来た時、何気なく壁に掛けてある一枚のモノクロ写真に目が止まった。見たとたんに釘付けになってしまった。その写真は一人の女性の顔の左半分を撮影したもので今にも大粒の涙がこぼれおちる瞬間を撮ったものだった。写真の中の女性は顔をくしゃくしゃにして、まっすぐにこちらを見ている。私にはどうしてもその目に溜めたあふれんばかりの涙が、悲しい涙ではなくて人が感動した時に流す涙に見えて仕方がない。食い入るように写真を見ていると、あのバーテンダーが話しかけてきた。
「写真お好きなのですか?あまりにもじっくり見ていらっしゃるので。」
「いいえ、あまりにも素敵な写真なので。有名な写真家が撮影したものなんですか?」
「あの写真、実は私が撮ったものなんです。写真が趣味で。」
「へぇー。」ちょっと意外。
「あの女性の涙ってとっても幸せそうに見えるんですけど。」
「あの写真ね、彼女がプロポーズされた時の写真なんですよ。あまりにも綺麗だったものだから。つい...。」
一枚の写真でこんなにも人の心をつかむなんて。私も写真でも撮ってみようかな。
私の趣味といえば「お酒」である。また今日もお酒が素敵な出会いと感動を連れてきてくれた。
|